絶滅危惧種 PR

【オカピとは】特徴や生息地・絶滅危惧種保護の取り組みを紹介

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「オカピってどんな動物?」

「オカピはどこにすんでいる?」

「オカピは三大珍獣なの?」

オカピは、シマウマのような美しい縞模様のうしろ姿とキリンのような角をもつ動物です。

オカピの存在は、生息地周辺の民族には古くから知られていましたが、世界に認知されたのは20世紀に入ってからでした。オカピは、ジャイアントパンダ・コビトカバと並んで世界三大珍獣とされています。

オカピはコンゴ民主共和国にのみ生息し、地球上でもっとも古い哺乳類の一つです。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでEN(Endangered:危機)に記載されており、野生では非常に高い絶滅の危機に直面しています。

最後まで読んでいただくと、オカピの特徴・生態・分布域・絶滅危惧種になった理由などについて幅広く知ることができますので、ぜひご覧ください。

オカピとは

オカピは、偶蹄目キリン科に分類されるキリンの仲間で、美しい姿から「森の貴婦人」という別名ももっています。

オカピは特徴的な縞模様のためにシマウマの近縁種であると誤解されていましたが、後になって唯一現存するキリンと同科の動物であることが判明しました。

「オカピ」という種名は、オカピが発見された地域にすむ民族の言語に由来しています。

ここではオカピの特徴や食性などについて説明していきます。

オカピの特徴

オカピは肩までの高さが1.5〜2.0m、体重はオスが200〜300㎏・メスが225〜350kgであり、メスの方がひと回り大きい動物です。

オカピの体色は胴体は茶色で、お尻から後肢にかけてと前肢の付け根は、白と褐色の縞模様となっています。この模様は、オカピが暮らすジャングルの中では保護色として有効です。

また、人間の指紋と同じように一頭一頭で模様が異なるため、母子がお互いを認識するのに役立っています。

オスはキリンと同じような皮膚と毛皮で覆われた角を頭にもちますが、メスには角はありません。舌は青色で最大45cmにもなり、木の葉を巻き取って食べるのに役立ちます。

オカピは聴覚に優れており、大きな耳を左右独立して動かすことで、遠く離れたヒョウなどの天敵の気配も察知することが可能です。

オカピは離れた相手とも互いにコミュニケーションをとるために声を出しますが、この声は超低周波音であり、人やヒョウなどの天敵には聞き取れません。母親が授乳のため、やぶに隠れている子どもを呼び寄せたり、発情期にオスがメスを探したりする時にこの特殊な声を発しています。

このように、オカピはジャングルの環境に適応し、森の奥深くに身を隠しながらひっそりと生きてきた動物なのです。

オカピの食べもの

オカピは草食で野生下では100種類以上の植物の葉を利用し、地上に落ちた果実やキノコなどを餌とすることがあるほか、毒のある植物も食べることが可能です。ミネラル補給のために、粘土なども口にすることがあります。

オカピとキリンの共通点は、長い舌をつかって木の葉を巻き取るようにして食べること・反芻動物で胃袋4つに分かれていること、水を飲むときに脚を広げる姿などです。

体重200㎏を超える体を維持するためには十分な量の植物が必要であり、オカピの生息には豊かな森林が欠かせません。

オカピの縄張りと繁殖

オカピは縄張りをもって単独でくらしており、縄張りの広さはオスで12㎢・メスで5㎢ほどです。オカピは両足にある臭腺から粘着性の物質を分泌し、歩き回って分泌物を残すことにより縄張りをマーキングしています。

単独行動をしているオカピは繁殖期になるとつがいになり、メスは400〜500日の妊娠期間の後、1回の出産で1頭の子を産みます。 双子が観察されるのは非常にまれです。

新生児は生まれて30分くらいで立つことができますが、ヒョウなどの天敵から身を守るために生後2〜3カ月までは巣の中にとどまります。その後母親と一緒に移動を始めますが、この頃が一番天敵に襲われやすい時期です。

授乳期間は約半年〜1年ほどで、脂肪分の多い母乳を飲んで育つため、2か月ほどで体重が約3倍になります。成熟するのは、生後約2〜3年です。

オカピの分布・生息地

オカピが生息しているのはコンゴ民主共和国東部のみで、降水量の多いうっそうとした熱帯雨林です。オカピを野生で目にすることは不可能に近く、1901年まで世界的には認知されずにいました。

現在、オカピ野生動物保護区には3千〜3千500頭のオカピが生息していると考えられ、生息地全体での推定個体数は1万〜1万5千頭です。

2013年以降、生息域一帯の治安が悪化しているため、個体数や生息状況の把握は一層困難となっています。

赤色…オカピの推定分布域
画像引用元:Founa&Flora International 

オカピが絶滅危惧種になった原因

もともと限られた地域にしか生息しないオカピは生息地の減少と密猟のために、さらに急激に数を減らしています。オカピの保護区とその周辺には違法武装集団が存在し、武力衝突や不法侵入が絶えないことも懸念材料です。

焼畑農業や違法な金採掘などにより熱帯雨林が伐採されると、手つかずの熱帯雨林に依存しているオカピは生息が脅かされてしまいます。また、ブッシュミートや毛皮目的の密猟も未だ根絶されていません。

2013年には、オカピの個体数が3世代の間に半減していることが判明し、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで准絶滅危惧から絶滅危惧種に引き上げられました。

オカピの保護の取り組み

オカピは、1933 年以来コンゴ民主共和国で法的に保護されており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストではEN(Endangered:危機)に記載されています。オカピ野生動物保護区に指定されているのが、コンゴ民主共和国北東部イトゥリの約1万4千の森林です。

また、コンゴ民主共和国の動植物の保護を担う政府機関である「自然保護研究所」は「オカピ保護プロジェクト」と協力して密猟防止や地域社会の支援などを実施しています。地域社会支援の具体例は、学校や病院の建設・医療品の提供・安全な水道水の供給・安定的な食糧確保・環境教育などです。

30年以上にわたって地域社会と協力してきたオカピ保護プロジェクトの活動が成果をあげています。

保護区の監視

自然保護研究所の監視員と森林レンジャーは、オカピ野生動物保護区においてオカピの密猟や金の採掘など違法行為を排除するために活動しています。活動の内容は、保護区のパトロールと罠の回収・密猟者の追跡・農地拡大の監視・生物多様性のモニタリングなどです。

自然保護研究所はオカピ保護プロジェクトと協力契約を結び、レンジャーに備品や生活物資を提供しています。

農地を拡大したい地域住民との調整や違法な密猟者の取り締まりまで、オカピを守るためには地道なパトロールが欠かせないのです。

アグロフォレストリーの普及

オカピの生息地を森林破壊から守るために、アグロフォレストリーが導入されています。

オカピ野生動物保護区周辺には、焼き畑農業により生活を成り立たせている地域が存在します。しかし、焼き畑農業はオカピやその他の野生生物が生息する熱帯雨林を破壊してしまうリスクがあり、持続可能な農業とはいえません。

アグロフォレストリーは森林を切り開かずに農地を確保する方法をとるので、熱帯雨林の保護と地域住民の生活改善を両立することが可能です。また、森林からの有機物や土壌微生物が保たれるので、地力を活かした農法ともいえます。

2022年上半期には600人を超える農家がアグロフォレストリープログラムに参加し、79の菜園が設立され、159世帯が生産する作物を多様化できるようになりました。

アグロフォレストリーの導入は地域住民の食糧確保や生活改善を可能とし、農業による熱帯雨林の破壊を防いでいます。

環境教育の実施

自然保護研究所は、教育機関や公共放送を通して積極的に環境教育を行っています。

2つ小学校では、希少な野生生物と保護の重要性について子ども達にむけて発信しています。保護区周辺の70の中学校では、保護区の役割・森林保護の課題・農地と保護区の境界線を尊重する重要性などについて話し合いの場をもちました。

地元の大学研修生6名には、オカピの保全に関する目標・具体的な取り組み・保護区内の課題について学ぶ機会を提供しています。

またラジオを通して、森林破壊の影響・オカピ密猟の最新情報・採掘が環境破壊である理由・持続可能なアグロフォレストリーなどについて84プログラムが放送されました。

このようにオカピ保護の重要性を広く発信していく活動が、地域住民の理解を得ながらオカピを守っていく基盤となっています。

まとめ

ここまで、オカピの特徴・生態・分布域・生息地・絶滅危惧種になった原因などについて、解説してきました。

オカピの生息地であるコンゴ民主共和国を訪れるのは難しいですが、動物園では実際にオカピを間近で観察し学ぶことができます。オカピを飼育している動物園は次のとおりで、繁殖にも成功しているのがよこはま動物園です。最新情報は、それぞれの公式サイトでご確認ください。

私たちがオカピのために何ができるかと考えた時、オカピの保護活動をしている団体に寄付をしたり保護活動に参加したりすることが手段としてあげられます。
代表的な団体は次のとおりです。

オカピの生息地周辺の情勢・治安が安定し健全な熱帯雨林が保全され、ジャングルの奥地にすむ美しい動物オカピの生息数が回復することを願わずにはいられません。

オカピに関心をもち情報を得ることは、オカピを守るための一歩といえます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。