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【クリスマスアブラコウモリとは】生息地や絶滅の原因・生き残りの可能性まとめ

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「クリスマスアブラコウモリ」とは

クリスマスアブラコウモリは「ヒナコウモリ科」に分類されている小型のコウモリです。その大きさは耳の先から尻尾の先まで10cm程しかありません。

体は毛先が黄色みを帯びた茶褐色の体毛で覆われており、耳は先端が丸みのある三角形をしています。

他のコウモリの仲間と同じように夜行性であり、夜になるとコロニーから飛び立って行動します。暗い夜空を飛び回れるのは超音波を使った「エコーロケーション」によって仲間や餌、障害物等を判別する事ができるためです。

クリスマスアブラコウモリはガや蚊等の小型の昆虫を食べていたと考えられています。

ヒナコウモリの仲間らしく、洞窟や大樹の洞穴で集団生活を営んでいたという記録が残っており、その記録通りであれば仲間同士で協力しながら子育てをしていた可能性もある種類です。

また、最近判明した事ですが、クリスマスアブラコウモリの遺伝子は僅かな違いがあるものの、東南アジアに生息するアブラコウモリと非常に良く似ていたという結果がオーストラリア政府の遺伝子研究によって明らかになりました。

「クリスマスアブラコウモリ」の分布・生息地

インド洋に浮かぶクリスマス島という島に生息していました。この島はオーストラリア連邦領の島です。

クリスマスアブラコウモリはこの島の森林地帯や洞窟等を棲み家にしていたとされています。

余談ですが、クリスマス島には固有種のコウモリとして、本種を含め2種類のコウモリの存在が記録されており、そのもう1種類が「クリスマスオオコウモリ」です。

こちらは生き残ってはいるものの既に絶滅危惧種に認定されています。

「クリスマスアブラコウモリ」の絶滅した原因

現在考えられている絶滅原因としては、人間がクリスマス島にやって来た時に連れ込んでしまった猫や犬、クマネズミ等の外来生物や害虫駆除薬ではないかとされています。

犬や猫は優れた狩人であり、洞窟や洞穴に隠れたコウモリや飛んでいるコウモリを捕らえる事もできます。また、クリスマスアブラコウモリは小さくて非力な動物であるため、クマネズミのように力の強いネズミに襲われては手も足も出ないのです。

さらに、外来の動物達は島にない病原菌や寄生虫を連れてきたという見方もあり、抗体を持たないコウモリ達は急激に数を減らしたという説や、ウルフスネークというヘビやオオムカデといった捕食者によって数を減らしたのではないかという見方もあります。

駆虫薬に関してですが、クリスマス島には気性の荒いアリやムカデ等の害虫が多数生息していたらしく、その駆除のために薬を使っていたそうです。

どのようなタイプの使用方法かは分かりませんがこの薬の成分によって中毒死した個体もいると考えられています。

かつて、クリスマスアブラコウモリはそれほど珍しい種類ではなく、全盛期には50を超えるコロニーが島全体にあったそうです。そこまで大規模な群の塊があると島中で確認できた事も頷けます。

しかし、1990年頃から急激に数を減らしてしまい、2006年にあるコロニーで確認できた個体数は54頭でした。

その後も再評価のために調査は続きましたが、2009年1月、同じコロニーで見つかった個体は何と4頭だけになっていました。

同年7月にはコウモリ研究者のサポートを受け、残ったコウモリも捕獲する事で何とかコウモリの絶滅を阻止しようと動きだし、8月には飼育下で繁殖させる事で数を殖やす計画も発表、繁殖のためのコウモリの捕獲を許可も出しています。

しかし、肝心のコウモリは姿を現さないどころかエコーロケーションの音声にすら反応を示す事はなく、約1ヶ月に及ぶ調査の中で8月26日のエコーロケーションに反応したのを最後に行方を眩ませてしまったのです。

この事を受けてオーストラリア政府もコウモリの保護プロジェクトの失敗を発表し、2009年9月をもってクリスマスアブラコウモリは絶滅したと考えられるようになったのでした。

このコウモリの絶滅はオーストラリアでは50年ぶりの生物の絶滅であるため、かなり衝撃が大きかったそうです。

「クリスマスアブラコウモリ」の生き残りの可能性

クリスマスアブラコウモリは2009年8月以降、その姿を確認できていないそうです。

しかし、捕食者が増えた島で飛翔能力があるコウモリ達が大人しく暮らしているかと言われれば不審な点もあります。もしかしたら、生き抜くためにクリスマス島という故郷を捨て、近くの小島でひっそりと暮らしているのかも知れません。

クリスマスアブラコウモリは東南アジアのアブラコウモリにかなり近い種類と遺伝子研究から分かっているので、彼らと行動していれば人間に見つかりにくいと思います。

せめて、クリスマスアブラコウモリが別の場所に逃げて生き延びている事を願います。