ダーウィンコメネズミは、齧歯目キヌゲネズミ科に属するコメネズミの仲間です。
キヌゲネズミ科には、ペットでも人気なハムスターなども含まれており、体長約10cm程度の小柄のネズミです。
体重は40~80gで、他のコメネズミと同様に植物や魚類、無脊椎動物などを餌としていたと考えられます。
また、イネやサトウキビ、トウモロコシなどの人間の作物も食べることもあるようです。
1930年ごろに絶滅したといわれており、1929年1月12日から16日の間にFrank Wonder によって採取された4体のみの標本が現在しているようです。
「ダーウィンコメネズミ」の分布、生息地
ダーウィンコメネズミは、エクアドル領ガラパゴス諸島のサンタ・クルス島に生息していました。
他の地域では確認されておらず、ガラパゴス諸島の固有種であるといえます。
生態についての情報は非常に少なく、わかっていないことが多いようですが、おそらく夜行性で、灌木の下の巣穴や岩の割れ目に生息していたと考えられています。
また、他のコメネズミの仲間は泳ぎや潜水にも長けており、水辺近くに草で巣を作っていたようですが、ダーウィンコメネズミも例外でなく、水辺にも入り込んで生息していたことが推測されます。
「ダーウィンコメネズミ」が絶滅した原因
ダーウィンコメネズミが絶滅に至った原因として挙げられるのが、人間によってもたらされたドブネズミやクマネズミなどの移入動物によるものです。
移入動物との餌をめぐる競合や、移入動物から持ち込まれた病気の感染、捕食などが考えられます。
また、ダーウィンコメネズミと同じサンタ・クルス島に生息していた「サンタクルスコメネズミ」も、絶滅しているといわれていますが、他の島には現在も生存が確認されているコメネズミの仲間が存続しています。
また、ガラパゴス諸島では、1832年に捕鯨船や犯罪者たちから島の環境を守るために領有宣言をしたことにより、次々に人々が移り住むようになりました。
移入した人々は、自然豊かなガラパゴス諸島を観光地にしようと考え、島内に航空路やホテルを建設したり、島を横断できるような道路も整備していきました。
サンタ・クルス島においては、1930年ごろから入植が始まっています。
この時期と、ダーウィンコメネズミが絶滅したと考えられている時期が重なるため、人間の入植による環境変化が、ダーウィンコメネズミの生活環境を奪ってしまった可能性も考えられます。
「ダーウィンコメネズミ」の生き残りの可能性
ダーウィンコメネズミは、1930年に絶滅したと考えられていますが、その他にも、過去に島で確認されているコメネズミの仲間は、全部で7種が知られています。
そのうち、1995年の時点で確認できているのはたったの2種でした。
それ以降、2回にわたりガラパゴス諸島固有の齧歯目にスポットをあてた調査が行われており、その際に絶滅していると考えられていた2種の再発見に成功しています。
しかし、ダーウィンコメネズミにおいては確認されておらず、絶滅したといわれています。
このように、絶滅したのちにも調査は行われていますが、いまだ再発見にはいたっていません。
しかし、現在ガラパゴス諸島では、絶滅危惧種の動植物を保護するために、世界中からボランティアが駆けつけて環境維持活動を行っています。
活動内容は、外来種の除去や生き物のモニタリングなどです。
こうした環境により、ガラパゴス諸島の環境が見直され、ひそかに生き延びているかもしれない生き物がひょっこり顔を出してくれる可能性もあるかもしれません。