まるで眼鏡をかけているかのような、知的な眼差し。
しかしその見た目に反して、彼らは「ドジ」バカにされてしまうほど、動きが鈍くおっとりとした動物でした。
そんなメガネウは、寒さ厳しいベーリング島でひっそり暮らす大型の鳥類。
今回はそんな彼らの生態に迫っていきます。
「メガネウ」とは
身体的特徴
メガネウの一番の特徴は、何といってもその顔の模様でしょう。
メガネウは全体的に暗い緑色の羽毛に覆われていましたが、目の周りだけは羽毛が生えていませんでした。
白い皮膚だけの部分が目の周りをぐるっと囲んでおり、これが眼鏡に見えることからメガネウと名付けられたのです。
大型の鳥で、体長は80㎝ほど(うち20㎝ほどが尾)、翼の長さは約35㎝、くちばしの長さは約10㎝、体重は6㎏にまでなりました。これは現存するすべてのウ科の中で最大級になります。
生態的特徴
彼らの生態的な特徴に関してわかっていることはそう多くはありません。
メガネウはあまり機敏でなく、また飛ぶこともうまくありませんでした。
博物学者のゲオルグ・シュテラーは彼らを見て、「大きく、ドジで、ほとんど飛べない」と評したとか。
その代わり潜水が得意で、魚を上手に捕獲して暮らしていたようです。
「メガネウ」の分布・生息地
メガネウはベーリング島の固有種だったと考えられていました。
中でも海に面した岩場を好み、そこを生活の拠点にしていたそうです。
繁殖期になると天敵であるホッキョクギツネの脅威から逃れるために、少し離れた小島などに渡っていました。
「メガネウ」の絶滅した原因
シュテラーによってメガネウが発見された時点では、ベーリング島は無人の島でしたが、1820年代には人々が定住を始めました。
メガネウは飛ぶことを好まず、おっとりした鳥だったため、ひとたび陸地に出れば猟師たちの格好の獲物でした。
かなり大きな鳥だったこともあり、「一匹で3人の男の空腹を満たせる」と言われ、効率のよい食料としてどんどん狩られていったのです。
絶滅した正確な時期に関してはわかっていませんが、1882年に調査が行われた時点で、すでにその地域でも30年間姿が確認されていなかったようです。
そのため、1850年には絶滅していただろうと発表されました。
「メガネウ」の生き残りの可能性
目撃情報もないことから、すでに滅んでしまった種であることは間違いありません。
しかし、最近の調査で、なんと日本の青森県から、その化石が出土したのです。
これはベーリング島の固有種であると考えられてたメガネウの、他の地域での生息を示唆するものです。
京都大学大学院理学研究科教務補佐員の渡辺順也氏によると、メガネウはベーリング島の固有種だったわけではなく、最初に記録された時点ですでに過去の分布を失った遺存的な個体群であった、とのこと。
このように、現在においても研究・調査が進められていますので、これからまだ何か新しい発見が期待できるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
絶滅の原因はもちろん人間の乱獲にありますが、それ以前に、彼らの性格や生態的な特徴も、絶滅に一役買っていたような気がしてなりません。
現在は世界に7体の剥製を残すのみです。大きな羽で、不器用に空を飛ぶ彼らの姿を見てみたかったですね。