「ハワイクイナ」とは、ツル目クイナ科に属する鳥類で、別名サンドウィッチクイナともよばれています。
全長約14cmで、比較的小柄なクイナの仲間で、アメリカの固有種とされていますが、1893年には絶滅したと考えられています。
羽根は退化しており、飛ぶことができなかったようです。
体の表面は濃い茶褐色で、腹部にかけては茶褐色に灰褐色の斑模様になっています。
「ハワイクイナ」の分布・生息地
ハワイクイナは、ハワイ諸島のハワイ島に生息していました。
また、同じくハワイ諸島にあるモロカイ島にも生息していたという説もあります。
ハワイ諸島とモロカイ島の間には、他にもマウイ島やラナイ島などの島が存在しますが、他の島にも生息していたかどうかはよくわかっていません。
羽根が退化していて飛ぶことができないので、基本的に低い木が生えるところに生息していたと考えられています。
体が小さいため、風の影響をほとんど受けずに草木の中で生活していたといわれています。
敵から身を守る際には、ポリネシアネズミの巣穴に隠れることもあったようです。
「ハワイクイナ」が絶滅した原因
ハワイ諸島には、これまでに少なくとも6種のクイナの仲間が存在していましたが、すべてが絶滅してしまったと考えられています。
バンの仲間である、「アラエ・ウラ」や、「アラエ・ケオケオ」などが生き残っていますが、これらも個体集が減少し、絶滅の危機にさらされています。
この原因の一つととして考えられるのが、欧米からの移住者の影響です。
移住者と一緒にやってきたペットのネコや犬、家畜のブタなどが野生化し、幼鳥やタマゴが次々と食べられてしまいました。
ハワイクイナは飛ぶことができなかったので、生息地を変えることや逃げることが難しかったことが推測されます。
また、移住者が増えたことによる住居や畑の開拓により、ハワイクイナの生息地が減少したことも大きな原因だと考えられます。
「ハワイクイナ」の生き残りの可能性
ハワイクイナの分類については、現在においても所説あるようです。
初期の標本が、現在示されている生息地とは別の島で採集されていたりすることもあり、今後分類形態が見直される可能性があります。
ハワイクイナの標本は、現在5つ存在しているといわれていますが、採集場所のデータが不十分であったり、骨の大きさがハワイクイナから推測されるものよりも多きかったりと、標本の形態だけでの分類は難しかったとされています。
今後、回収されている標本からDNA分析を行い、分類が見直される可能性があります。
こうしたことにより、ハワイクイナの種が変更され、絶滅していないということになる可能性もありますが、ハワイ諸島のクイナ科の鳥類はほとんどがすでに絶滅しており、クイナ類に近いバンの仲間もほとんどが個体数が減少しています。
このことからも、種が見直されたとしても、すでに絶滅している可能性が高いと考えるのが打倒だといえるでしょう。