アリゾナジャガーは、食肉目ネコ科ヒョウ属のジャガーの仲間です。
1932年に動物行動学者であるGoldmanによって記載されています。
ジャガーの1亜種とされていますが、亜種として記載されている多くは、少数の骨格標本や個体差の大きい認識形質により識別されているという説があり、どの亜種も、形態的には識別できなかったと報告されています。
このことからも、アリゾナジャガーは、ジャガーのシノニム(同一と見なされる種に、複数の学名があてられていること)であるという説が有力であるといわれています。
Goldmanの記載によると、アリゾナジャガーは北米の他のジャガーに比べて頭蓋骨が大きく、鼻が扁平だとされています。
「アリゾナジャガー」の分布・生息地
アリゾナジャガーは、アメリカ合衆国の南部に位置する、アリゾナ州の東部からグランド・キャニオン、ニューメキシコ州、ソノラ州に生息するジャガーの亜種として記載されています。
最初に述べた通り他のジャガーと同種である可能性が高く、他のジャガーと同じく肉食性の動物です。
広い草原などの開けた環境ではなく、森林や樹木が多い草原、マングローブなどに生息しています。
基本的に夜行性で、単独行動をしています。
食性は幅広く、シカ類などの草食動物から、ナマケモノやホエザルといったサル類、カワウソ、鳥類、カエル、ナマズ、ピラルクーなどの魚類までも餌としているようです。
水に浮かびながら獲物を待ち、水中から襲い掛かる行動もしられています。
「アリゾナジャガー」が絶滅した原因
アリゾナジャガーは、現在絶滅したといわれていますが、IUCNのレッドリストにおいて、アリゾナジャガーの絶滅の記載はありません。
これは、アリゾナジャガーがシノニムである可能性があるからだと考えられます。
しかし、同種であるとされているジャガーにおいても、絶滅危惧種に指定されており、個体数の減少が報告されています。
1960年代までに、アメリカ合衆国ではジャガーはほぼ絶滅したと考えられています。
アリゾナ州においても、4半世紀にわたって2頭のみしか確認されておらず、ほぼ絶滅したと考えられます。
この原因は、主に人間にあると考えられます。
ジャガーの毛皮は、高級品として取引されるため、何年もの間ハンターにより狩猟されてきました。
また、ジャガーの生息地が放場や農地などに開拓され、餌となる野生動物が減ってしまいました。
その結果、牧場のウシやヤギなどの家畜が襲われるようになってしまったのです。
そのため、農民たちはジャガーを狩猟するようにもなったといわれています。
こういった人間による環境の変化と乱獲により、ジャガーの個体数は現在においても減少していると考えらます。
アリゾナジャガーの生き残りの可能性
アリゾナジャガーは、ジャガーのシノニムであり、同種である可能性が高いです。
よって、アリゾナ州でのジャガーは確認されていなくても、同種であるジャガーは別の地域で生存しています。
しかし、その個体数は減少し、絶滅危惧種に指定されています。
また、地域によっては、アリゾナジャガーを含め、いくつかの亜種がすでに絶滅しているといわれており、今後地域ごとに絶滅していく可能性は高いです。
現在生き残っているジャガーの個体数を維持するためにも、生活環境を守ることと、生態系の維持に取り組むことが重要だと考えられます。