絶滅危惧種 PR

【ホッキョククジラとは】特徴や生息地・絶滅危惧の原因を紹介!

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日本はクジラを食べる文化のある数少ない国なのはご存じでしょうか?

私は小学生の時など給食で年2~3回食べていました。これが結構うまいんですよね。

クジラ肉の竜田揚げ、鶏肉にマグロやカツオのような赤身魚のうまみを足したような、できることなら常食したいくらいなのですが、日本は世界でも少数なのです。

世界ではクジラをはじめとした海生哺乳類は知能が高いことから人間にもほど近い存在として食鯨文化は野蛮扱いされています。

日本は鯨の生態解明などを目的とした捕鯨で捕獲されたものが出回るくらいなので乱獲にはほど遠いと思うんですが、外国の目は厳しいものです。

国内でも動物保護団体が水族館でのクジラ類(イルカなど)を展示をやめろとデモを起こしたりしているようです。私も実際遭遇したことがあるのですが、これからイルカショーを楽しみにしているところでそんなん見せられたら非常に気分が悪いですね。

普通に営業妨害だと思うので、愛護団体の方にはせめて子供には影響のないような活動をしてほしいものです。

で、前置きが長くなりましたが今回お話しするのはホッキョククジラについてです。北極とはいうものの、北極だけに住んでいる鯨ではないようです。

「ホッキョククジラ」とは

ホッキョククジラはその名の通りに北極圏に主な生息地をおく鯨です。そのほかにも多くの生息地はありますが、それは次で説明しましょう。

ホッキョククジラはヒゲクジラとよばれるグループのクジラです。その逆にハクジラとよばれるグループがありますが、そちらにはイルカやシャチなどが該当します。

ヒゲクシラはまるでひげのようなブラシ状の歯を持っており、大量の海水を飲み込み、ブラシ状の歯で餌である小魚、オキアミなどのプランクトンをこしとって食べます。ハクジラはイカや魚などを高い遊泳力と鋭い歯で捕まえて食べます。

ハクジラと比較してヒゲクジラは動きが緩慢であることが特長とも言えます。

ホッキョククジラはヒゲクジラであるため、主な食事はオキアミと動物プランクトンです。その巨体を支えるため、一日に数百キロのプランクトンを食べます。同時に大量の海水を含んで歯でこしとって食べるのです。

ヒゲクジラ類の中でもとりわけがっしりとした体格のクジラであるホッキョククジラは、
全長18mにまで成長するクジラで、記録では20~21mというものもいたようです。

北極海に生息するためか、脂肪の層は非常に分厚く、50センチにまで及ぶといいます。ブラシのような歯は3mを超える巨大なものとなっており、ヒゲクジラの中でも最大です。これは水中の小さな動物プランクトンを食べるのに適したものとしてのはたらきがあるようです。

またホッキョククジラは非常に骨太な頭蓋骨を持ち、呼吸の際には分厚い氷すら割って水中から頭を出すとされています。原住民であるイヌイットの証言では厚さ60センチもある氷を割って頭を出したとか、出さないとか。

基本的に群れはそこまで大きくなく、単独または、最大5~6頭ほどの小さな群れで移動します。

またホッキョククジラはここまで大きい巨体ながら攻撃性はなく、脅威を感じた時には氷の下に逃げ込むほど、おとなしい生物です。一度の潜水で40分は潜っていられるとされますが、マッコウクジラのように深海まで潜るようなことはないようです。

イヌイットをはじめとした人間も敵ですが、自然界ではシャチくらいしか敵はいません。弱った幼体はもしかしたらホッキョクグマに襲われることもあるかもしれません。

ホッキョククジラに限らずですが、クジラ類は水中で超音波を出すことで水中での物体把握や、仲間とのコミュニケーションを行います。ホッキョククジラはクジラの中でも高度な発声能力を持つとされ、そのほかのクジラに比較するとバリエーションが多いようです。

繁殖は3~8月に行われ、10~15歳で成熟し、繁殖が可能となります。メスは3年に一度ほど繁殖を行い、13か月の妊娠期間を経て4~5mほどの赤ちゃんを生みます。

ホッキョククジラの寿命はほかのクジラよりも長く、一般的なクジラが60~70年に対して、150~200年と推測されています。

さらには90歳を超えても繁殖ができるとかとも言われています。そのため、人間以外の動物では珍しい、更年期障害を患うこともあるようです。

「ホッキョククジラ」の分布・生息地

ホッキョククジラはその名の通り、北極海を主な生息地としてその一生を北極海で終えるクジラですが、その中にはベーリング海付近で暮らす個体群もいます。

ベーリング海の個体群はアラスカなどに回遊も行い、季節によって生息地をかえています。おそらくは海流に乗ってより餌の多いところに住処をおいているのでしょう。

またオホーツク海では周年見られる生物であり、日本でも知床半島での目撃例があり、1969年には大阪湾に迷い込んだ個体の記録もあります。

石狩湾でも化石が見つかっていることからもともと日本周辺にもいた種類なのかもしれません。

「ホッキョククジラ」が絶滅危惧種となった理由

ホッキョククジラは現在、保護活動のおかげもあり、基本的には絶滅の可能性が低い傾向にありますが、依然として絶滅危惧種であることは変わりません。

このクジラが絶滅危惧種になった大きな理由は乱獲です。

前述の通り、ホッキョククジラには大量の脂肪があるため、これが「鯨油(げいゆ)」としてランプなどの燃料に使われていました。また、肉や骨、鯨髭も装飾品の材料として利用価値が高く、捕鯨の対象になってきました。

16世紀から大規模な商用捕鯨が始まったとされ、ホッキョククジラの生息数は激減しました。しかし、20世紀に入ると数が激減し、商用捕鯨は終了しました。もちろん、激減の要因は乱獲によるものです。

しかし、その後、乱獲が終わったことでアラスカのハドソン湾の個体群などは増加傾向にあると考えられています。

アラスカの先住民などは古くからホッキョククジラの捕獲を行ってきたとされますが、欧米諸国による大規模な商用捕鯨が開始されるまではおよそ5万頭の鯨がいたとされます。

欧米諸国は各地の個体群を根絶やしにする勢いで乱獲を行い、資源が枯渇すると次の海域へ、次の海域へということを繰り返し、1800年代に始まった北太平洋でのホッキョククジラの商用捕鯨ではたった20年で全生息数のおよそ60パーセントが捕獲されたといわれます。

しかし、その後は商用捕鯨は中断され、先住民にのみ捕獲の枠が与えられていますが基本的に商用捕鯨は行うことができなくなりました。そのおかげか、アラスカ沖の個体群は増加傾向にあります。

現在、世界に生息するホッキョククジラの数は1万頭とされていて商用捕鯨開始の5分の1とみる考え方もあります。ただ、海の中の生物なので、正確な数は把握しきれないということが事実です。

「ホッキョククジラ」の保護の取り組み

ホッキョククジラに限らずクジラ類の主な保護としてはIWC(国際捕鯨委員会)がかかわっています。IWCは国際捕鯨取締役条約に基づき鯨資源の保存及び、捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として設立された国際機関です。

1946年に設立されたIWCは様々な鯨の捕鯨への取り締まりを行ってきました。ザトウクジラやミンククジラ、ナガスクジラやイワシクジラなど、様々なクジラの頭数の調査や管理を行いました。

現在では国際的にはクジラの捕獲は原住民だけに認められた特権のようなものになっており、世界的には捕鯨を行わない国が増えています。

そのため、クジラの生息数は増加傾向にあり、大規模捕鯨が始まる前とは行かなくとも、絶滅の危険から脱することのできたクジラたちも多いはずです。ホッキョククジラもその1種で、現在では1~2万頭の生息数がいると推察されています。

しかし、その一方でクジラによって数を減らしているとされるのがイワシやオキアミなどです。クジラはその膨大な体躯から圧倒的な摂餌量を誇ります。

そしてクジラの敵となるものはシャチくらいで、増えすぎたクジラによる漁業資源の減少もささやかながら問題視されています。

しかし、クジラは人間に近いといわれるほどの知能があり、クジラを愛護生物として守ろうとする団体も非常に多いです。

ですが、増えすぎた生物を間引きという言い方は不適切であるかもしれませんが、ある程度は商用に捕獲する必要もあるのではないかと思われます。

日本やノルウェーはもともとクジラを食する文化があることからIWCから現在は外れています。日本でもクジラは商用ではなく、調査と銘打っての捕鯨を行っていますが、海外からの批判はやみません。

難しい問題であるかもしれませんが、クジラは人間にほど近い生物ではありますが、ときに食することや、クジラの生態を知るためにも調査としてその命を奪うことも必要ではないかと考えます。

水族館でのクジラ類の飼育も反対の声が多く、水族館前でショッキングなプラカードをかかげ、デモ活動している方を何度か見たことがありますが、水族館での飼育の記録や、日常的な体調管理、時に病気やけがの治療も野生のイルカやクジラを守ることに役立っています。

弱ったイルカなどが座礁したり、定置網に入ることがありますが、こういった場合、保護をして治療、経過観察を行うのは水族館ですからね。

水族館を悪にするつもりはありませんが「多くを救うには少しの犠牲が必要」という考えも人は持つべきではないかと思います。(ちなみにこれは「仮面ライダー龍騎」に登場するオルタナティブ・ゼロの変身者、香川英行のセリフから筆者の心に刻み込まれています。)

捕鯨問題は現在進行形で解決が見いだせない問題でもあります。あなたはどう思うでしょうか?クジラという生物について少し考えるきっかけになれば幸いです。