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【バライロガモとは】生息地や絶滅の原因・生き残りの可能性まとめ

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「バライロガモ」とは

カモ目カモ科の水鳥の仲間で、本種だけで「バライロガモ属」を形成しています。

メリハリのある美しさと珍しさから「インドで最も美しいカモ」とまで言われていました。

カモの中では大型種で、全長は60cm前後。オスの方がメスより少し大きくなります。

頭部から首の背面まで名前の通りのピンクローズ色をしており、それ以外は黒褐色の羽に覆われています。

翼にある風切り羽と翼下面はピンクがかった色をしており、目の虹彩は橙色、水かきのついた脚はカモの中では長く、暗いレンガ色をしています。

メスはオスと比べて羽の色が茶色っぽく、頭部のピンク色も白みが強いため淡い印象を受けます。

また、オスは額や喉に黒いラインが入りますが、メスには見られない特徴のため区別する事ができます。

食性は植物食性で、ウキクサの仲間を食べたり、潜水して湖沼の中の水草を主に食べていたと考えられています。

繁殖期が来ると、自分達の姿を隠せるような背の高い草の茂みの中に巣を作り、平均的に5〜6個、多い時には10個もの卵を産んだとされています。

「バライロガモ」の分布・生息地

インドの固有種という説もありますが、インドの北東部やミャンマー、ネパールの中部に分布していたと言われています。

その分布域の中でも、森林の中に形成された湿原や湖沼に小規模の群れで暮らしていました。

「バライロガモ」の絶滅した原因

バライロガモは現在「絶滅危惧種」とされていますが1935年には既に絶滅していると考えられています。

絶滅に追い込まれた理由は、人間による生息地の破壊や狩猟、ペット目的の乱獲が原因であると言われています。

野生下での最後の1羽はインド・ビハールで1935年にダージリン博物館の学芸員が仕留めた個体であると言われており、猟犬がカモを回収して来るまで、その学芸員は仕留めた獲物が何だったのか分からなかったそうです。

19〜20世紀には個人で飼育したり動物園の水禽舎でも飼育されていましたが、どの個体も長生きはせず、ペアで飼育しても繁殖に至らなかったと記録されています。

1939年には、飼育されていた最後のバライロガモも亡くなってしまいました。

バライロガモが繁殖しなかった理由の個人的な考えですが、生息地から察するに、バライロガモはかなり神経質な種類だったのではないかと思います。

昔の動物園は「見世物」的な部分が強く、警戒心の薄い「アヒル」と同じ感覚で世話をした結果、バライロガモは動物園を「繁殖に適していない」と判断した可能性があります。

今では姿を見る事ができないため、その真実を知る事は叶わなそうです。

「バライロガモ」の生き残りの可能性

絶滅危惧種とされていながら既に絶滅したと考えられているバライロガモですが、1970年代にミャンマーで確実性は少ないものの発見例があります。

その後は発見例はありませんが、人目のつかない場所でひっそりと暮らしている可能性がありそうです。

また、最近では「ラマン法」という羽毛の中の色素にダメージを与えずに解析する方法が確立されたため、バライロガモの羽毛かどうかの判別もしやすくなり、新規の痕跡も受け入れやすくなりました。

現在では生きているバライロガモの姿を見る事は非常に難しいですが、バライロガモの標本は世界に71羽も残っており、自然博物館にてその姿を見る事ができます。

日本に標本があるかは不明ですが、1度その姿を見れば、いかに素晴らしい種類が姿が消してしまったかを考えるキッカケになる事でしょう。