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【アンデスオオカミとは】生息地や絶滅の原因・生き残りの可能性についてのまとめ

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1949年、今から約70年前に「アンデスオオカミ」という新種のオオカミの発見報告がありました。

学名Dusicyon hagenbeckiと名付けられたこのオオカミですが、未だに多くの謎を残し続けています。

実はアンデスオオカミの生きた個体の捕獲はおろか、自然界での観測に成功した人物は1人もいません。

動物学に乗っ取った種系統が確立し、生物学的系統の記載もされているにも関わらず、未確認生物UMAにカテゴライズされています。

UMAはオカルト的な意味合いに捉えられがちですが、アンデスオオカミに至っては意味合いが強く異なります。絶滅種や古代生物の生存、全くの新種を指す意味合いをその主として含みます。

2021年現在、その存在の証拠となる残留物は皆無です。残念ながら先の太平洋戦争で全て焼失してしまいました。

「アンデスオオカミ」とは

古くから南米大陸の原住民には未知の動物アンデスオオカミに関する伝承がありました。開拓に参加したインディアンの目撃例もあります。

1926年ドイツ人動物商ローレンツ・ハーゲンバッグが手に入れた毛皮が全ての発端です。

この毛皮の由来は完全に不明です。都市部の市場に流通していました。

その体色はかなり黒めの褐色を持ち、長さはおおよそ2mほどでした。

特徴的な部分はそのタテガミです。かなりの毛量であった上に既存の狼類より広範囲に伸び連なっています。

そして1936年、ローレンツの報告を受けた同国ドイツの動物学者インゴ・クルムビーゲル博士が現地調査に臨みます。

その結果、多種より大型な頭骨標本の入手に成功します。

1941年、博士はこの毛皮と頭骨から双方が同一の生物由来であり、更に新種であるという仮説を立てます。

当時既に南米大陸にはタテガミオオカミというオオカミの生息が確認されています。

ただこの種は湿地帯などの低地を拠点とし、標高の高い山間部では生き残ることはできません。
発見された頭骨は30cmにも及びます。体長1m弱のタテガミオオカミとは明らかに大きさが合いません。

野犬の可能性も示唆されましたが、同様の理由で生存不可能と結論づけられます。

そして博士は標本証拠のみで新種の正式発表をし、生物学会にも受諾されます。

こうして新種のオオカミ「アンデスオオカミ」が公的認知されるに至りました。

「アンデスオオカミ」の分布・生息地

毛皮・頭骨標本の売買が行われたのはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスです。

発見場所、現地住民への聞き込み調査などからアンデス山脈にのみ目撃例や伝承の類が集中していることが判明します。

アンデス山脈は南米大陸を横断し実に7カ国にも跨ります。

調べた限りの文献や論文には「アンデス山脈に生息した」という抽象的な表現しか記載されていませんでした。

ただアンデス山脈は、最大海抜6000m超の最高峰の連峰群です。この過酷な環境下の生息に完全適応できるのであれば、アンデス山脈全域に分布していてもおかしくはないという推測が大多数を占めています。

「アンデスオオカミ」の絶滅した原因

絶滅・生存両方の確認が一切取れていない稀有な動物です。

1954年には残された毛皮と頭骨の標本を鑑定する作業が行われます。

結果は「シェパード犬」に近い犬の毛皮という見解でした。

ただ発見当時の年代を考慮すると、南米大陸にシェパード犬が流入していた可能性は極めて低いです。

流入したと仮定して、アンデスの高地に耐え得る性質をシェパード犬は有しません。

鑑定年も大戦終了後から僅か4年です。当時の種の同定方法も現在と比較すると非常にあやふやな点が垣間見えます。そういった観点から異議を唱える学者が後を絶たない現状があります。

別の視点から見ると1926年から実に約100年もの月日が経過しています。その間何度か捜索・捕獲を試みますが全て失敗に終わっています。

種の確認から今まで有力な生体そのものを見た人間はいません。

以上の点から2つの有力な説が提唱されています。

1つは既に絶滅してしまった「絶滅説」。

2つ目は前述の「誤認説」です。

ただどちらの説も主軸にはなりません。

なぜなら大戦の最中でアンデスオオカミの標本群は全て焼失してしまいます。

現代のDNA鑑定ならば詳細が明らかにされた事でしょう。

「アンデスオオカミ」の生き残りの可能性

冒頭で述べたようにアンデスオオカミは現在未確認生物UMAと認識されています。

宇宙人・UFOの類ではなく「undefined」本来の意味での未確認生物です。

そのため絶滅しているか生き残っているかさえも不明です。実在しているかさえも不透明です。

少数ですが「クルぺオギツネとの交雑」を唱える学者もいます。クルぺオギツネは南米大陸でタテガミオオカミに次いで2番目に大きいイヌ科の動物です。

その生息地もアンデス山脈西部に集中しており接触していた可能性は捨てきれません。

しかし正式な分類学上では、その染色体数が異なるのでタテガミオオカミとの交雑はあり得ません。

ただタテガミオオカミ自身の染色体数も不明である以上、その可能性はゼロではありません。

もしかすると全く未知の個体群として、今でもアンデスの山奥でひっそりとその個体群を形成しているのかも知れません。